過ぎ去りし思い出は灰色を纏い、雨風をこえて進みゆく小舟。

亡きいのちの風は、廃墟となる建物、空き地の時空を流れゆく。

失われた心は映写機を写せず、喪失とも気づかずに。

浪漫は灯火でないと信じつつも、帯びてゆく悪は哀しみの影。

暮れなずむ色彩は彩の旅の途中、土にしっかりと時を刻む。

街よ、包みこまれた人々の雲になれ。

時折、雨を降らせて泣いてくれ。

濡れかたまる土の重さは彼方にはわからず、

その人たちの顔がみえていない。

施された仮面は不自然な笑みのままで、

柔らかな土へと針を刺す。

突き刺された針は見る影もなく、

土色の色相環は、この街をさらに包みこむ。

深い呼吸は同じ調べで、瞬間の膨らみにいのちを馳せる。

航海は在るもので突き進み、後悔は時を戻せぬなら、

いのちの限り突き進む小舟。

波風とともに燃えよ、たましい。

真っ白になるまで、消えゆく海へ。