透ける世界と儚さと

靄がかった空が少しずつ暗くなってゆく雨模様の月曜日。光量が少ないせいか、お店に並んでいるメガネたちの姿も晴れの日とは違う色を纏っていました。透明に近い色のアセテートフレームは光との関わりで、どんな色彩にも見えてしまう不思議な魅力を持っている。アセテートマジックと呼んでもいいぐらいに変化していくのです。ボーソレイユのアセテートフレームは絹のような光沢と感触がとても綺麗で、見ていて心豊かな気持ちになります。材料の出発点への強いこだわりは規則のあるロマンティシズムを生むのでしょう。

幼い頃から、メガネに囲まれ、メガネとともに暮らし、メガネのおかげでご飯を食べてこれた僕にとって、そのメガネのどこに魅力を感じているのかということは、生きているあいだ、ずっと考えていくことなのかもしれません。ここ数年はメガネにとって大切なことのひとつである”光”のことについて思いを巡らせています。そのメガネのデザインから光を感じられるものは形をも凌駕すると思っています。濃い影と深い闇があれば、より強く光を感じるように。そして、そこには、ひょっとして、そのメガネにしか映らない儚さと美しさが存在するのだと感じます。

感傷的になり過ぎてはロマンティシズムも煩わしい。修練と自由は極めて繊細な方法でまじり合わなければならない。雨空の下、ゆれる光を照りかえしながら吸収するボーソレイユのメガネは儚くきれいでした。

いつかどこかで、誰かを照らすことを願いながら……..

投稿者:Kumashiro  2017/04/18 14:52アイウェア ファッション ライフスタイル