ある風の日

            ある風の日
 限りがあるって それ以上の道はないって そのとき思いました
 みたことがない場所に 懐かしさを覚えることが不思議な一日 
 道ばたの野草は水艶でうるおい さっきの雨が嘘のように輝いています
 時の前後は 闇のなかの 黒のなかの 灰色なのかもしれません
 切り裂く時の一瞬の中には 魔法をかけられた ぼくらがいました
 川傍の花々と 大きくうつった雲の顔は にこやかなのです
 初めてなのに そこは とてもなつかしくあたたかいところ
 夕闇のスケッチブックとして ぼくに そして空に刻まれた
 あの人に逢える一枚の絵には 青い影の花が咲いています
 風はあの日なんといったのでしょうか
 光は揺れていき これが最初で最後の魔法だと おしえていたのでしょうか
 すべてを包み込んだ やわらかい色が尊い一日
 風はあの日なんといったのでしょうか
 すべてを受けとめた しなやかな夏の陽の午後
 吹いた風よりゆっくり流れる ここの時間は
 その少しあと 未来との狭間で とまってくれた
 ぼくらのために ほんのちょっと とまってくれた

投稿者:Kumashiro  2010/04/15 11:49ライフスタイル