オプティーク 004

ボーソレイユ氏来店 | 2009.4.26

物をデザインすること。それは1日のなかに一瞬訪れる興味を引かれることに対してのオマージュなのかもしれない。

パリのデザイナーブランド、『BEAUSOLEIL』。何気ない暮らしの中で、一瞬の輝きを見落とさない審美眼の鋭さ。ボーソレイユの魅力のひとつはデザインを起こす前の発想力。作品に対してのアプローチもジャズプレイヤーの即興演奏のように変化を恐れず、挑戦しつづける。尊敬するデザイナー。フレデリック・ボーソレイユ。

今年もお店にさらりとエスプリを届けに来てくれた。気取らない人柄と愛嬌のある笑顔はいつも通りの自然体。お店のみんなにその笑顔が伝染していくと、もうそこには BEAUSOLEIL(美しい太陽)にふさわしい空間が創られていた。

ボーソレイユ氏と出会って10年以上になる。オプティシャンとして、人として様々なことを教えてくれた。気品のある佇まいから静かに言葉を選び語る彼。言葉だけではなくフィーリングで伝えてくれる。「インスピレーション」「イマジネーション」「フィーリング」。彼がよく使う言葉だ。「かわいい」「かっこいい」「きれい」。彼が喜ぶ日本語。やはり一流のデザイナーはプラスの波動を生む言葉が好きだ。

数多くの世界のトップメゾンからラブコールがかかる実力者の影で、1本、1本のプロトタイプを自ら手がけ、デザインに愛情を注ぐ手間を惜しまない努力の人でもある。原始芸術に影響を受け、人の血が通う物づくりを忘れないところも魅力のひとつだ。

アイウェアデザインの原点である素材の選択。独自に開発されたアセテート生地はそれだけでも美しい。そこはファッションに通ずるボーソレイユの原点。形や機能に縛られて見落とすことが多い素材の質感や色彩へのこだわり。ユーザーやバイヤーの物への審美眼が一番試されるところだ。

身につけるとその人の顔になり人工物である眼鏡。身につけるとその人の目となり対象物をとらえる眼鏡。眼鏡の役目とはいささか責任が重いものだ。故にそれを創造する人達の責任も同じように重い。眼鏡に限らず、何かを創造することは本来重たいことなのだ。

だからこそボーソレイユは僕に語ってくれる。いや、語らなきゃいけないんだと思う。想いのこもったデザインの眼鏡やサングラスがその人に届くまで、レンズという医療器具を含め、身体の一部になるものをコンサルティングする必要があるから。

年に2度、彼とゆっくり話すことが出来る濃密な時間がある。ボーソレイユのポテンシャルを感じることが出来る貴重な時間。そこでの会話はいろんな場所にトリップする。哲学のこと。文化のこと。歴史のこと。科学のこと。芸術のこと。文学のこと。音楽のこと。宇宙のこと…。様々な事柄に好奇心旺盛で雄弁な彼だが、ただひとつあまり語ろうとしないことがある。そう、自身がデザインした眼鏡のこと。

今日もお店にならんでいる『BEAUSOLEIL』のアイウェア。いつものように僕にささやかに語りかけてくる。アイウェアの素晴らしさを。

大好きなデザイナー。フレデリック・ボーソレイユの代わりに。

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